「接種すると症状が悪化する」可能性も
 
そのような副反応の頻度を調べるのが、臨床試験だ。
ファイザーが海外で行った新型コロナのワクチンの第3相の臨床試験では、2度目の接種後の4週間の観察期間を通じて、
深刻な神経症状はなかったと発表された。
ただ宮坂教授は、「これで副反応がないと結論づけられるかといえば、別問題です」と注意を促す。

「第3の副反応である『抗体依存性感染増強(ADE)』という現象は、
接種した人が後にウイルスに感染した際、むしろ症状の悪化を促進してしまうという副反応です」(宮坂教授)

 どういうことか。

「通常、免疫ができるのは、体の中にウイルスを殺したり、不活化したりする『中和抗体(善玉抗体)』ができるから。
ただ、感染やワクチンによって発現する抗体の中には、エイズの抗体のように、感染後に体内で増えてもウイルスに対する働きを持たない『役なし抗体』や、
感染性を強めてしまう『悪玉抗体』ができてしまうことがある」