クラウドファンディング(CF)のプロジェクト件数が、新型コロナウイルスの感染拡大で急増したことが調査会社GfKジャパン(東京・中野)の調べでわかった。緊急事態宣言発令中の5月に立ち上がった件数は過去最多の3082件となり、発令前の3月に比べて2.4倍に増加した。飲食店などの支援のほか、出資者に商品を提供する購入型のCFも普及した。

2019年9月から20年8月まで、国内の7つの主要CFサイトのデータを分析した。緊急事態宣言の発令期間中の5月に立ち上がった3082件のプロジェクトの内訳をみると、飲食店や観光業者、エンターテインメント事業者に対する支援が多かった。CFには資金の見返りを得ない寄付型や個人から小口の投資を募る株式投資型などがある。短期的な資金調達の手段としても広く認知されているとみられるという。

最も多く資金を集めたプロジェクトはREADYFOR(レディーフォー、東京・千代田)のサイトに掲載された「新型コロナウイルス感染症拡大防止活動基金」の寄付プロジェクトで、12月までに約8億7000万円を集めた。

6月以降はマスクや除菌グッズなどの衛生用品の販売プロジェクトが多く立ち上がった。大手メーカーが商品をCFで販売することも多かったという。新商品を発表する展示会の中止を受けて、新商品をCF上で発売し、その後に実店舗で販売する流れも生まれた。GfKジャパンは今後もCF市場は拡大し、メーカーや小売事業者による導入が増えると予想する。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODZ098NE0Z01C20A2000000