内閣府が8日発表した11月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、3カ月前と比べた足元の街角の景気実感を示す現状判断指数(DI、季節調整済み)は、前月比8.9ポイント低い45.6だった。7カ月ぶりに悪化に転じた。2〜3カ月後の景気の良しあしを判断する先行き判断指数(DI、季節調整済み)も36.5と同12.6ポイント低下し、4カ月ぶりの悪化となった。

今回の調査期間は11月25〜30日。足元で新型コロナウイルスの感染が再び拡大傾向にあることが大きく響いた。内閣府は現状の基調判断を「新型コロナの影響による厳しさが残る中で、持ち直しに弱さがみられる」へ下方修正した。下方修正は4月以来7カ月ぶりとなる。10月の判断は「新型コロナウイルス感染症の影響による厳しさは残るものの、着実に持ち直している」としていた。

現状、先行きとも指数を構成する家計、企業、雇用関連のすべてのDIが悪化した。10月に続いて政府の需要喚起策「Go To キャンペーン」の効果を実感する声があった半面、新型コロナの感染者数が増加するなかで感染拡大の影響を懸念する声も多かった。

現状の見方としては「11月は祝日もあり、前半は回復傾向にあった」(南関東のコンビニ)、「観光客を中心に週末の人出が多い」(北陸のタクシー運転手)などといった声があった。一方で「10日以降の新型コロナ感染者増加に伴い、来客数が激減している」(東北の衣料品専門店)、「忘年会も早くから中止が進んでいる」(甲信越の高級レストラン)など感染再拡大の影響が出始めているとの声もあがった。

先行きの見方には一段と慎重さがうかがえる。「今まで以上に感染者数が増加しているため、重要な客である高齢者の来店がますます減ることが予想される」(近畿の百貨店)といった声や、「忘年会、新年会の書き入れ時に相当なダメージ」(四国の一般レストラン)、「業務店、飲食店からの受注も大幅に減少する」(甲信越の食料品製造業)といった声が出ていた。

〔日経QUICKニュース(NQN)〕

2020年12月8日 16:08
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZASFL08HQ3_Y0A201C2000000