【ニューヨーク=宮本岳則】トランプ米政権は12日、中国人民解放軍と関係が深い中国企業について、米国投資家による株式などの購入を禁止すると発表した。トランプ氏が同日、大統領令に署名した。中国移動(チャイナモバイル)など米国防総省の作成したリストに含まれる31社が対象となる。

大統領令によると、2021年1月11日以降、米国の投資家がリストに入った個別銘柄や、そうした企業群に投資するファンドを購入できなくなる。すでに保有する分についても21年11月までに売却しなければならない。トランプ政権は声明で、リストに入った企業は中国人民解放軍の能力向上に寄与しており、米国の安全を脅かしていると指摘した。

米国防総省は6月、「米国で活動する共産主義中国の軍事企業」リストを初めて公開した。華為技術(ファーウェイ)など20社が人民解放軍と関係が深いと認定された。8月下旬に公表された追加リストには中国化工集団(ケムチャイナ)など11社が新たに入った。

中国本土や香港の株式市場で売買されている銘柄が多い。発表を受け、ニューヨーク証券取引所に上場する対象企業の株価は下落し、チャイナモバイルは4%安、中国電信(チャイナテレコム)5%安となった。

トランプ政権は連邦職員向けの年金基金を運営する連邦退職貯蓄投資理事会(FRTIB)に圧力をかけ、中国株への投資開始を延期させたことがある。今回の大統領令は年金基金や保険、個人など米国のあらゆる投資家が影響を受ける。上場投資信託(ETF)などが参照する一部の株価指数には保有禁止企業が含まれており、指数算出会社も対応を迫られる可能性がある。

2020/11/13 7:40 (2020/11/13 9:40更新)
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66172630T11C20A1I00000/