【ワシントン=鳳山太成】トランプ米大統領は19日、中国発の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」と米IT(情報技術)大手オラクルなどが提携する案について「原則承認」したと明らかにした。商務省は20日に予定していたアプリの配信禁止を27日に延期すると発表した。

財務省報道官は19日の声明で「トランプ氏がオラクルとウォルマートの提携案を再検討した」と説明した。米政府としての最終承認は、オラクルと米ウォルマートの交渉完了と、政府機関の対米外国投資委員会(CFIUS)による承認が条件になると指摘した。

米政府はティックトックの運営会社である北京字節跳動科技(バイトダンス)が提携案に同意したかは明らかにしていない。提携が最終的に成立するためには、中国政府の承認も必要になる。

トランプ氏はホワイトハウスで記者団に「どうなるか様子を見るつもりだがコンセプトとしては米国にとって素晴らしい合意だ」と述べた。「承認を与えた。完了するなら素晴らしいし、しなければそれでもよい」と話した。

提携案については、ティックトック事業を担う新会社を「オラクルと米ウォルマートが完全に支配する」という。出資比率には触れなかった。提携案の全容は「(オラクルなどが)まもなく発表する」と説明した。

焦点となっている米国内の利用者データを巡っては「中国とは関係がなくなる。安全性は完璧になるだろう」と強調した。情報の保管先として「切り離されたクラウド(サーバー)を使う」と説明している。

米商務省は19日、「直近の前向きな動き」を受けて、ティックトックの米国内での提供と更新を禁じる措置を27日午後11時59分に延期すると発表した。同省は18日、20日夜から配信と更新を禁じると発表していた。交渉期限を事実上延期して、中国側に譲歩を迫る狙いとみられる。

トランプ氏は提携案に関して「多くの雇用やお金を米国にもたらす。みんなハッピーだ」と税収増ももたらすと主張した。提携案によると、新会社は南部テキサス州に置き、2万5千人の雇用を生むという。米国の若者教育への基金に50億ドルを拠出することも盛り込まれているという。

トランプ氏は中国政府に米国人の個人情報が流出すると問題視し、バイトダンスに米国事業への売却か閉鎖を迫ってきた。
2020/9/20 6:51 (2020/9/20 8:35更新)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64096370Q0A920C2000000/