総務省は、同一の電話番号のまま携帯会社を乗り換える際の手数料について原則無料とする案をまとめた。現在は各社が一律3000円を徴収している。乗り換えによって携帯会社間の競争を促し、国際的にみても高いとされる携帯電話コストの引き下げにつなげる。

同省が27日に開く有識者会議で提案する骨子案に盛り込む。「番号持ち運び制度(MNP)」で他社に移る際の手数料について、ネット手続きを無料とする方向を示す。9月ごろに報告書案をまとめ、一般からの意見公募を経て、関連ガイドラインの改定をめざす。

携帯各社のコスト負担も勘案し、店舗で手続きする場合は上限1000円までの手数料を認める考え方も併せて示す。そのうえで、ネット上での手続きについて、24時間利用できるようにすることを求める。現在、大手は午前9時〜午後8時などに限定している。

月額料金が安い自社の別プランに誘導したり、買い物などに利用できるポイントを付与したりし、乗り換えを引き留める行為も禁止する。

MNPは消費者の利便性向上をめざし2006年に導入された。当初は2000円だった手数料は後に3000円に引き上げられた。利用件数は13年度の657万件がピークで、近年は500万件前後で推移している。

米英仏など主要国では乗り換え手数料を無料としている国が多い。総務省は、手数料の高止まりが消費者に乗り換えをちゅうちょさせ、携帯会社間の競争を阻害する一因になっていると見る。

総務省によると、3月時点の東京(NTTドコモ)のスマートフォンの通信料金は標準的とされる月5ギガ(ギガは10億)バイトのデータプランでニューヨークに次ぐ2番目の高さだった。改正電気通信事業法の施行で端末代金と通信料金を分離した後も、国際的にみてなお高水準とされる。
2020/8/27 9:50
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63095290X20C20A8MM0000/