東京のオフィス「空室待ち」がなお衰えない理由
2019/06/24

2018年問題――。ひところ、不動産業界にはこんな懸念があった。2018年以降、東京都心の大規模再開発が一気に竣工を迎え
大量のオフィスビルが供給されることで、空室が急増するというシナリオだ。
ところが、ふたを開けてみると2018年に竣工したビルはあっという間に満床となり、デベロッパー各社からは「貸す床がない」
と嬉しい悲鳴が聞こえてくる
セールスフォース・ドットコムは4月、日本法人の人員を現状の1500人から24年までに3500人規模にすると発表。現在入居する東京駅前のJPタワーから
日本生命丸ノ内ガーデンタワーへ本社を移転する。
現状の約3倍、9000坪超のオフィスエリアを丸ごと1社で借りる予定だ。
セガサミーホールディングスは昨年8月、都内に散らばっていたグループ各社を大崎駅前の住友不動産大崎ガーデンタワーに集約。グループ計20社・従業員約6500人の大企業が
地上24階・延べ床面積5・3万坪の大型ビルにすっぽり収まった。
ユニー・ファミリーマートホールディングスも今年2月、池袋のサンシャイン60から田町駅前に建つmsb Tamachi 田町ステーションタワーSへ本社を移転した。



東京のグレードAオフィスビルの月坪賃料は、リーマンショック直前の2007年に約5万2000円を付けたが、足元では4万円弱だ。
「リーマンショック以前は利回りから賃料を逆算した投機的な動きが目立った。
今は実需に基づいた値付けのため、上昇は緩やかだ」(住友不動産の山下氏)。