働き方改革や通勤ラッシュ回避を主な目的として進められてきたテレワークが、BCP(事業継続計画)やDR(災害復旧)における不可欠な手段となった。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)をきっかけに、世界中の企業がテレワークありきの働き方をニューノーマル(新常態)にしようとしている。

 一方で、感染症対策とビジネス継続を両立させるための緊急措置としてテレワークを始めた企業の中には、インフラ整備が追い付かない、個人の環境に依存するためビジネスの生産性が下がってしまう、セキュリティリスクが後回しになっているといった問題が生じている。

 このような問題に直面する企業に向けてモバイルアイアン・ジャパンとマクニカネットワークスは2020年5月27日、Webセミナー「働き方改革だけではなく、BCP/DRにも〜いつでも、どんなときでも働ける最適テレワーク実現術〜」を開催。「テレワークお悩み相談室〜BYODで実現する安全で快適なテレワークとは〜」と題したセッションでモバイル端末のBYOD活用によるテレワーク成功の秘訣(ひけつ)を語った。

□テレワーク実施率は急伸、ただし……
 COVID-19対策として緊急事態宣言が発令されてから、多くの企業がテレワークを始めた。パーソル総合研究所が全国の企業を対象に、緊急事態宣言前後で企業に所属する正規雇用従業員のテレワーク実施率を比較した調査によると、宣言前(2020年3月9日〜15日)の実施率は全国平均で13.2%だったのに対し、宣言後(同年4月10日〜12日)は27.9%の企業が「テレワークを実施している」と回答した。

 実施率が約2倍に増加している一方で、7割強の企業はテレワークを実施できていない。その主な原因には「テレワークで行える業務ではない」(47.3%)、「テレワーク制度が整備されていない」(38.9%)に次いで、「テレワークのためのICT環境が整備されていない」(19.9%)という声があったという。(いずれもパーソル総合研究所「新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査」 第二回調査より)

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上:テレワーク実施率は緊急事態宣言の前後で約2倍に急伸/下:テレワークを実施できない理由とは(出典:パーソル総合研究所)

 こうした状況に対し、マクニカネットワークス 第4営業統括部第1営業部第1課 担当の原 昂汰氏は「テレワークを実施したくても簡単にはできない企業も多い。特にIT部門は『テレワーク用の端末がすぐに用意できない』『持ち出し端末のセキュリティをすぐに用意できない』『自宅のネットワーク環境が整っていない』『コミュニケーションツールだけでも早期に整える必要がある』といった悩みを抱えている」と指摘する。

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マクニカネットワークスの原 昂汰氏

>>2 へ続く

2020年06月22日 10時00分 公開
ITmedia エンタープライズ
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