ソフトバンクグループ傘下の半導体設計会社、英アームが中国合弁企業の責任者を解任したのは、この責任者が中国で競争相手となる投資会社を設立していた事実が判明した後だった。事情を直接知る関係者が明らかにした。

匿名を条件に語った関係者によると、安謀科技(中国)(=アーム・チャイナ)の最高経営責任者(CEO)を解任されたアレン・ウー(呉雄昂)氏はアームの技術を利用する企業に投資するファンド「アルファテクチャー」を設立。半導体会社が投資事業を通じて新興企業に資金を支援し高価格であることが多い半導体を購入してもらうのは合法でよくあることだが、ウー氏の場合は問題があったという。

アーム・チャイナを共同で保有する英アームと厚朴投資はこうしたファンドを既に備えているため、ウー氏の新たなファンド設立によって直接的な競争関係が生まれる状況になったと関係者は説明した。

ウー氏解任の理由は、ソフトバンクGの孫正義社長とアームのサイモン・シガースCEOから厚朴投資の方風雷董事長に宛てた文書でも示され、同文書はブルームバーグ・ニュースが確認。文書は契約違反とファンド設立の決定に言及した。これまでアームと厚朴投資はウー氏が「利益相反の開示を怠り、従業員規定に違反するなど、深刻な不適切行為」をしていたことが調査で判明したと説明していたが、詳細は明かしていなかった。

ソフトバンクG傘下の英アーム、中国合弁トップ解任−合弁側は否定

ブルームバーグ・ニュースはウー氏とアーム・チャイナにコメント要請の電子メールや電話を複数回試みたが、返信はこれまでない。アームと厚朴投資は既に発表済み以外のコメントを出すことを控えた。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-06-20/QC7C6QDWRGG801