米アマゾン・ドット・コムは28日、米国の物流施設などで3月以降に臨時採用した期間従業員の約7割に正社員になる機会を用意すると発表した。新型コロナウイルスの影響で米国の4月の失業率は14.7%と戦後最悪になった。アマゾンは長期的な労働力を確保することでネット通販需要の拡大に備える。

アマゾンは生活必需品の需要急増で生じた配達遅延などを解消するため、3月中旬から約1カ月半で米国の物流施設や配送部門などで約17万5000人を臨時採用した。これは4月時点の同社の米国の全従業員数の約3割に相当する。このうち12万5000人について、6月から雇用期間の定めのない正社員になる機会を用意する。

期間従業員は正社員になることでフルタイム勤務が求められる一方、初日から医療保険などの包括的な福利厚生が受けられる。長期的なキャリア形成のためにアマゾンが用意している各種の研修プログラムも利用できるようになる。

アマゾンは3月中旬に臨時採用を表明した当初は、新型コロナの影響で仕事を失ったレストランやバーの従業員らの一時的な雇用の受け皿となる考えを示していた。ただ、米国では多くの地域で飲食業の店内営業はなお制限されており、雇用が戻るには時間がかかる見通し。

同社の担当者は「アマゾンに長くとどまるという選択肢が、米国社会の失業負担の軽減に役立つことを願う」とコメントした。
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