キョーリン製薬ホールディングス(HD)は13日、新型コロナウイルスのPCR検査で必要な検体の前処理をする装置の開発を進めていると明らかにした。人手が必要だった前処理が自動でできるようになり、医療現場の負担軽減につながる。2020年度内の発売を目指す。

子会社の杏林製薬は高速処理が特徴の新型PCR装置「ジーンソック」を19年11月から販売している。20年4月に発売した専用試薬により、15分程度で新型コロナウイルスの感染を判定できるようになった。一方で前処理は一般的なPCRと同じ手順で約30分かかる。試薬を移し替えたり不純物を取り除いたりするなど手間が必要だ。

開発を進める前処理装置では全工程を自動化する。作業員の手間を大幅に減らし、その時間を他の作業にあてることができる。前処理装置による時間の短縮幅は現時点では未定。ジーンソック向けの装置だが、他のメーカーのPCR装置にも応用可能という。

ジーンソックの小型版の開発を進めていることも明らかにした。キョーリン製薬HDの荻原豊社長は「PCR検査は大型の研究施設などに集中している。クリニックなどでも使えるよう、持ち運べてベッドサイドで使えるサイズのものを提供したい」と話す。

小型版のジーンソックも前処理装置と同様に20年度内の発売を目指す。開発スピードを重視して、いずれもまず研究用として発売する予定。今後さらに広がるとみられるPCR検査の需要増加や現場の負担軽減に応える方針だ。

2020/5/13 12:55
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59027700T10C20A5XB0000/