武田薬品工業は8日、米CSLベーリングなどと開発中の新型コロナウイルス感染症の治療薬に関し、6月にも臨床試験(治験)を始めると発表した。治療薬はヒトの血液由来のもので武田とCSLベーリングはこの分野の世界大手だ。開発プロジェクトには新たに4社の製薬会社が参加し、血液収集など開発を加速する。

治験は米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)が協力し、日米や欧州で実施する見通し。武田やCSLベーリングなどは新型コロナ感染症から回復した患者の血液を採取し、重症患者向けに免疫機能を高める治療薬を開発する。

治験薬は武田の米ジョージア州の工場で作る計画。プロジェクトには6社が参加していたが、新たに米ADMAバイオロジクスなど4社が加わった。各社の拠点で血液の収集作業などを進めていく。

回復した患者の血液を使った治療薬開発は、武田が2019年1月に買収したアイルランドの製薬大手シャイアーの技術になる。武田は3月、自社で治療薬の開発を発表し、9カ月から18カ月で治験を終えて実用化する計画を明らかにしていた。

2020/5/8 12:50
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58854040Y0A500C2XB0000/