■資産・事業の売却になりふり構わず邁進
だが、武田の進行する経営悪化の最大の原因は、言うまでもなくシャイアー買収で抱えてしまった6兆円以上、年間の借入総額に対する年間の利息の払いが約1000億円に達する有利子負債にある。
そのためか、最近の武田の衆目を集める話題といえば、約1兆1000億円規模を目標とする非中核事業の資産売却ばかりだ。

武田は昨年、中国・広州のバイオ医薬を手掛ける広東テックプール・バイオファーマの保有株式を全て売却。さらに、ブラジルの100%子会社で大衆薬製造のマルチラブも売却した。
この7月には、スイスのノバルティスにドライアイ治療薬の「リフィテグラスト点眼剤」を、約53億j(約5823億円)で売却。米ジョンソン&ジョンソングループのエチコンには、今年度中に手術用パッチ剤の「タコシル」を4億j(約439億円)で売却する。

ノン・コア資産の売却は今後も止む気配はないが、あの長谷川閑史が社長時代、新薬創出に失敗して次々に海外企業のM&A(企業の合併・買収)に手を出し、「日本企業の海外M&Aの失敗例」としてさんざん引き合いに出された挙句、
莫大な手元流動性を誇る無借金経営をついに破綻させてしまった。
今度は引き続きの収益が見込まれる会社もあるのに減収影響も厭わず、逆になりふり構わぬ資産・事業の売却に邁進している形だ。これでは、どこかチグハグ過ぎはしまいか。

業界では今や、ウェバーを「青い目の長谷川閑史」と呼び始めているらしいが、これもシャイアーの買収後に待ち構えている、暗雲たる武田の近未来を予測してのことのように思えなくもない。
そしてその前途は、乱高下しながらも確実に下がり続けている株価が黙示しているのではないか。(敬称略)

http://www.medical-confidential.com/2019/10/03/post-9767/