【ソウル=細川幸太郎】韓国サムスン電子が29日発表した2020年1〜3月期のスマートフォン事業の営業利益は前年同期比17%増の2兆6500億ウォン(約2320億円)だった。2月発売の旗艦モデルが欧米市場で好調だったほか、ウォン安が進み同部門の利益を押し上げた。ただ4〜6月期は「需要縮小と店舗閉鎖、工場稼働中断で販売量は大幅に減る」と警戒を強めている。

サムスン全体の純利益は3%減の4兆8800億ウォンで、売上高は6%増の55兆3300億ウォンだった。新型コロナウイルスの影響は4〜6月期に本格化する見通しで、1〜3月期の全社業績は前年並みにとどまった。IR担当の徐炳勲(ソ・ビョンフン)副社長は電話会見で「4〜6月期は主要製品の需要減が本格化し業績悪化が予想される。下半期も不確実性の高い状況が続く」と話した。

最大事業のスマホの売上高は4%減の26兆ウォンだった。新型コロナウイルスの感染拡大を受けてマーケティング費用を抑えたほか、為替がウォン安に振れたことでスマホ事業は増益を確保した。旗艦モデル「ギャラクシーSシリーズ」が欧米はじめ世界で好調で、折り畳み型の第2弾モデル「ギャラクシーZフリップ」など単価の高いスマホの販売増も奏功した。

スマホと並ぶ2本柱の半導体事業の営業利益は前年同期比では3%減の3兆9900億ウォンで、売上高は22%増の17兆6400億ウォンだった。足元ではメモリー市況の回復は続いており、前四半期比で営業利益は16%増だった。スマホ向けのメモリー出荷は減少したものの、データセンター投資は堅調でサーバー向けのメモリー出荷がスマホの落ち込みを補った。

ディスプレー事業の営業損益は2900億ウォンの赤字(前年同期は5600億ウォンの赤字)だった。前年より赤字幅は縮小したものの、顧客の中国のスマホ工場閉鎖に伴い有機ELパネルの需要減は続いている。サムスンは液晶パネル生産から年内に撤退することを決めており、同事業の収益改善を急いでいる。
2020/4/29 12:40
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58621750Z20C20A4TJC000/