聞き手・江渕崇 2020年4月24日 12時00分

 新型コロナウイルスの世界的流行(パンデミック)は、米トランプ政権が仕掛けた貿易摩擦など、グローバル化が逆風にさらされる中で起きた。米国や世界経済はどこに向かうのか。著書「時間かせぎの資本主義」などで知られ、金融緩和による問題の先送りを批判してきた独社会学者、ヴォルフガング・シュトレーク氏にメールで聞いた。



 ――大恐慌に匹敵する経済失速が世界を襲っています。

 「(リーマン・ショックがあった)2008年から今に至るまで、資本主義は『ステロイド注射』によって生きながらえてきました。債務は爆発的に増え、中央銀行は資産を急激に膨らませ、ゼロ金利によって資産価格は高騰しました」

 「他方、格差は広がり続けました。米国では大多数の家計がその日暮らしで、貯金も医療保険もない。ウイルス危機は、元から抱えてきた矛盾をさらに深刻にするだけだとみています」

 ――各国は医療資材を確保したり、感染拡大を防いだりするために、モノやヒトの動きを国境で止めようとしています。

 「様々な形をとった保護主義が、世界でさらに高まっていくでしょう。世界の貿易は08年以降は伸び悩んでおり、この傾向はあと数年間でさらに強まり、グローバリズムは勢いを失います。米中の覇権争いと、新たなデジタル技術をめぐる安全保障上の脅威の高まりもあり、世界経済はふたたびブロック化が進むとみています」

https://www.asahi.com/articles/ASN4S3FQ4N4RUHBI00P.html