韓国のサムスン電子が2020年のうちに、テレビ向け大型液晶パネルの生産から撤退を検討していることが明らかになった。
かつて日本勢のお家芸だった液晶パネル産業を駆逐したサムスンなどの韓国勢は、足元で中国勢との競争が激化。優勝劣敗が激しい産業を物語っている。

サムスンの大型液晶パネルを含むディスプレイ事業は2019年1〜3月期に3年ぶりの赤字に転落。
2019年通年でも営業利益は前年比4割減の1兆5800億ウォン(約1400億円)にとどまった。同事業の稼ぎ頭はスマートフォン向けを中心に世界で約8割のシェアを握る有機ELパネルであり、
生産撤退を決めたテレビ向けの大型液晶事業は赤字が続いていた。

サムスンは2010年代半ばまで、同じ韓国のLGディスプレイと大型液晶パネルで世界シェア首位の座を争っていた。
両社のシェアはそれぞれ約2割あったが、サムスンはこの5年のうちにシェアを落とし、2017年以降はシェア1割前後で世界5位に低迷していた。

中国メーカーが補助金を武器に価格攻勢

サムスンが後退した要因は需給バランスの崩壊だ。液晶パネルは2000年代後半からテレビやスマホ向けの需要が急拡大。大型化や高精細化も求められ、大規模な設備投資が必要となった。
当初、サムスンやLGなど韓国勢はテレビやスマホなどの自社製品で高い競争力を実現するためにFPD(フラットパネルディスプレイ)の研究開発や生産体制を強化。
年間数千億円の大規模投資を連発し、パナソニックやシャープ、ソニーなどの日本勢を引き離した。

ところが、2010年代半ばから状況が一変する。液晶パネルの分野で中国勢が急速に台頭してきたのだ。
折しも世界では大型テレビへの買い替え需要が一巡し、スマホも成熟市場と化してFPD市場が急拡大する時期は終わっていた。
にもかかわらず、中国メーカーは政府からの多額の政府補助金や公的金融機関の支援を武器に価格攻勢を仕掛けた。

その代表格は中国トップの京東方科技集団(BOE)だ。BOEは2017年末に当時最先端であった「10.5世代」の生産ラインを世界で初めて稼働させた。
投資総額は458億人民元(約7000億円)にのぼったが、このうち約250億元は政府系企業や投資ファンドによる出資でまかなった。

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