【ワシントン=河浪武史】米財務省は19日、新型コロナウイルスの資金繰り対策として、米国の輸入企業の関税納付を90日間猶予する特例措置を発動すると発表した。主に3〜4月に輸入した製品の関税が対象で、トランプ政権が課している中国への制裁関税などは猶予しない。米当局は個人所得税や法人税などの納付も既に90日間猶予すると決めており、企業に手元資金の確保を促す。

米連邦政府の関税収入は2019会計年度(18年10月〜19年9月)で708億ドル。新型コロナによって米企業は経済活動が大幅に制限され、売り上げ急減で資金繰りが悪化している。当面の関税支払いを猶予することで、手元資金を給与支払いなどに優先的に充ててもらう狙いがある。

トランプ政権が課す中国製品への制裁関税は、納付猶予の適用対象外とする。鉄鋼やアルミニウムなどの上乗せ関税も対象外で、新型コロナによる景気悪化局面でも、トランプ政権は保護貿易政策を堅持したままだ。

米財務省は3月にも、連邦法人税や個人所得税などの納税期限を90日間延長すると決めている。個人や企業は各税の納税猶予によって、3000億ドル規模の手元資金を確保したと試算される。

2020/4/20 10:43
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58250410Q0A420C2EAF000/