ゲオホールディングス(愛知県、遠藤結蔵社長)傘下のゲオは、中古衣料売買の「セカンドストリート」「ジャンブルストア」を運営し、衣料品の2次流通マーケットをけん引する。同社が“リユース系リユース”と呼ぶ衣料、服飾雑貨、家具、家電などの売上高は、2019年3月期で前期比16.5%増の524億円となり、本業のCDなどのレンタルが右肩下がりとなる中で、同社の利益に大きく貢献している。

 国内に669店舗を抱える同社だが、海外戦略にも積極的だ。15年にはセカンドストリートUSA(2ND STREET USA)を設立してカリフォルニアに5店舗、ニューヨークに1店舗をオープンした。さらに17年にはマレーシアにセカンドストリートトレーディングマレーシア(2ND STREET TRADING MALAYSIA)を設立して、3店舗を運営する。海外事業を統括する久保幸司ゲオ常務取締役に話を聞いた。

2019年2月、ニューヨークにオープンしたセカンドストリート ノーホー店
WWD:2019年2月にアメリカ6店舗目となるセカンドストリート ノーホー店をニューヨークに出店した。アメリカ事業は順調?

久保幸司ゲオ常務取締役(以下、久保):順調だ。アメリカには日本型の編集を行う2次流通店が、つまり競合がない。さらに日本ブランドなどを中心に高価格帯のアイテムをそろえる古着店もなく、これが受けている。ただしアメリカに進出する日本の2次流通企業は増えており、われわれが今後郊外に出店していった場合、状況は変わるかもしれない。

WWD:アメリカでの客単価は?

久保:約60ドル(約6480円)だ。日本は郊外型店舗が中心であり、それらをならすと約3000円になるので倍以上だ。アメリカの同業他社の客単価は35〜45ドル(約3780〜4860円)でこれに比べても高く、また彼らの中には仕入れ値を定価の3割と決めている店も多い。しかしセカンドストリートUSAでは、日本で培った目利きのノウハウを生かして買い取り品にプレミアム価格を付けることもあるし、その逆もある。結果として、ファッション好きに支持される高感度なブランドを集められている。

WWD:アメリカ1号店であるセカンドストリートUSAメルローズ店がオープンして1年ほどは日本から古着を輸出しており、現地での“クローズドサークル”を目指していたが買い取りはできている?

久保:当初セカンドストリートの認知がなく苦戦したが、アメリカにはそもそもリユース文化が根付いており助けられた。初動こそ遅れたが、順次オープンしたカリフォルニアの1〜3号店では現地買い取り品で商品をまかなえている。

WWD:アメリカでは、どういったアイテムが売れている?

久保:日本と変わらない。なぜならユーザーは、店舗で売られているものを買い取りに持参する傾向にあるからだ。

WWD:アメリカ戦略の今後は?カリフォルニアのドミナントは完了という認識でよいか?

久保:いや、まだだ。カリフォルニアのドミナントは続ける。では、なぜニューヨークに出店したのかと思うだろうが、理由は2つある。1つ目は、東海岸で重衣料に挑戦してみたかったから。2つ目に、西海岸のライバル企業が東海岸で成功しているからだ。あくまで検討段階だが、中央部のシカゴやテキサスもリサーチ中だ。

WWD:18年に1号店がオープンしたマレーシアのその後についても聞きたい。

久保:19年9月に3号店であるセカンドストリートBU店がオープンした。セカンドストリートトレーディングマレーシア設立時の目標通り、20店舗オープンを目指す。

WWD:マレーシアでの売れ筋は?

久保:やはり“メード・イン・ジャパン”は人気だ。ただし高価格という難点もある。そこで現地の消費者が新たな価値として認めたのが、「ユニクロ(UNIQLO)」など“日本企業による服”だ。厳しい日本人の基準をクリアした服であれば、中国やベトナム製であっても優れていると判断される。

WWD:それを販売するゲオも日本企業であり、それらが一体となってブランド化されている?

久保:ありがたいことに。また、マレーシアでは小売り以上にディーラーへの卸がビジネスの主であり、7割を占める。古着はベール(小分けして袋詰めされた状態)で売買するが、現地ディーラーに「セカンドストリートのベールは質が良い」と好評だ。
以下ソース
https://www.wwdjapan.com/articles/1066193