外国為替市場での急速な円高ドル安を受け、麻生太郎財務相は9日昼、記者団に「しばらくよく見ておかないと」と述べ、円相場の警戒を続ける考えを示した。

 東京市場で午前中に一時1ドル=101円台の円高水準をつけた。新型コロナウイルス感染拡大の影響で動揺が続く金融市場に対し、為替介入の権限を持つ財務相がどう対応するかが注目を集めていた。

 投機的な動きで円高が止まらない場合、政府が金融市場に干渉する「伝家の宝刀」とも呼ばれる為替介入を発動することも選択肢になる。実施すれば、ユーロ危機などを背景に円高が進んでいた2011年11月以来、8年4カ月ぶりとなる。ただ、日本政府は近年、介入を極力控える方針で、実施に踏み切るかは微妙な情勢だ。

 また、菅義偉官房長官は9日午前の記者会見で「株価などの日々の動きについてコメントは差し控えるが、市場動向については十分な注視を行っている。今後も状況に応じて、ちゅうちょなく必要な措置を講じていきたい」と話した。
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