安倍晋三首相は7日、東日本大震災から11日で9年となるのを前に福島県の被災地を訪れた。県沿岸部の浜通り地域への移住の促進に向け、国の福島再生加速化交付金を拡充する考えを表明した。浜通り地域の3町を視察後、浪江町で記者団に「従来の交付金を拡充し、魅力ある働く場づくり、移住の推進に重点を大きく振り向けていく」と語った。

首相の被災地視察は昨年11月以来、43回目。首相は同町に開所した世界最大級の水素製造施設「福島水素エネルギー研究フィールド」を見て回り「浜通りを世界最先端のイノベーションコースとし、新しい福島を作っていく」と強調した。

14日に全線開通するJR常磐線の訓練列車にも試乗した。不通が続く富岡―浪江駅間の帰還困難区域の一部で避難指示を解除したのを受け、運転を再開する。

首相が視察した双葉駅周辺も避難指示解除に伴い、26日に始まる東京五輪の聖火リレーのルートになる。首相は「復興五輪として、ここまで復興したというシンボルになる」と述べた。

首相はこれに先立ち、富岡町の富岡ホテルでホテル関係者や宮本皓一町長と懇談した。「ふるさとへの思いと熱意が大きな力となって復興は着実に進んでいる」と話した。

2020/3/7 12:53
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56526700X00C20A3EA3000/