【広州=川上尚志】中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)は27日、フランスで通信機器の工場を新設すると発表した。投資額は2億ユーロ(約240億円)超で約500人を雇用するという。仏政府は次世代通信規格「5G」の通信網にファーウェイ製品の採用を認めるか正式に決定しておらず、地域経済への貢献をアピールし採用を促す狙いがありそうだ。

ファーウェイの梁華会長が27日にパリで記者会見し、工場の建設計画を明らかにした。新工場は欧州の通信会社など向けに主に5G用通信機器を生産する。具体的な建設地や着工・稼働の時期は明らかにしていない。同社は「フランスは工業インフラが成熟しており、労働力の質も高い。地理的にも当社にとって理想的だ」と説明する。

ファーウェイは通信機器で世界最大のシェアを持つが、米政府は安全保障上の懸念があるとして5G通信網に同社の通信機器を採用しないよう同盟国などに呼びかけている。フランスではマクロン大統領が2019年5月に「(ファーウェイの)排除は考えていない」と述べているが、政府は正式に採用の是非を決定していない。

欧州では英政府が1月下旬に5G通信網でファーウェイの通信機器の採用を一部容認すると発表したほか、スイスやスペインなどでも同社製品の採用が広がっている。

2020/2/28 11:59
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56166530Y0A220C2EAF000/