政府は28日の閣議でドローン(小型無人機)の登録制度を導入する航空法改正案を決定した。所有者や使用者、機体の製造番号、電話番号などをオンラインで政府に登録する。ドローンを使った宅配サービスなどの商用化をめざし、土台となる安全確保のルールを整える。登録で得た識別番号(ID)を無線を通じ、ドローンから発信することを義務付ける。

今国会で成立すれば、2022年にも施行する。ドローン購入後、すぐに登録を求める。登録せずに飛行した場合、罰金を科す。既に流通している数十万〜数百万機のドローンは21年度中にも登録する必要が生じる。

登録すると、車のナンバープレートのようなIDを取得する。IDは機体に貼り付けるよう求める。空高く飛んでいてIDを地上から識別できないケースもある。無線通信を通じて、IDを発信させ、地上の警察が誰が飛ばしたドローンか把握できるようにする。

商用化によるドローンの飛行の急増を予測し、利用者の実態を把握する狙いがある。ドローンはテロやスパイ活動にも利用されやすい。空港周辺や防衛関連施設などを飛行するドローンがIDを発信しない場合、打ち落とす。玩具など一定の重量を下回る超小型機体は規制対象から外す。

ドローンの商用化では医薬品などの配達や通学中の子どもや高齢者の見守り、高層ビルの建築や点検などを想定している。企業活動や行政の生産性を向上する可能性がある一方、テロやスパイ活動に悪用される懸念も強い。産業界も安全を確保するルールづくりを求めている。

日本はドローンの商用化で米国や中国に比べ遅れている。政府はドローン商用化を前提とした交通管制システムの整備や、機体の安全基準、使用者の技能を証明する制度の創設なども今後進めていく。

2020/2/28 9:30
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56160500Y0A220C2EAF000/