2020年は「賃金と生産性」をキーワードとしたい。私にはそんな思いがあります。

生産性をアップさせることは賃金の上昇につながりますが、今の日本の生産性はこのままでは下がってしまう。それはひとえに賃金にもマイナスの影響を与えかねません。こんな危機感を皆さんと共有したいと思います。

そもそも、なぜ日本は生産性が下がっていくといえるのでしょうか。

先進国全体でみると、経済成長の伸びは明らかに縮小していきます。社会が農業・工業中心の経済からサービス中心の経済へと移行するにしたがって、生産性が低下していくのは避けられないからです。

農業や工業は機械化によって、大規模化や大量生産が可能となり、生産性を飛躍的に向上させることができました。

ところが、サービス業で大半を占める卸売・小売・宿泊・飲食・運輸・倉庫などの業種では、たとえ一部を機械化できたとしても、生産性を大幅に上昇させることは不可能です。

昨今の先進国における生産性の伸び悩みは、国民がある程度は豊かになった証拠であり、その結果としてサービス経済への移行が進むことで生じる代償と捉えなければならないでしょう。

中略
日本がこんなにダメなワケ
日本でもアメリカと同じことが起きています。

雇用者全体に占める製造業の割合は1960年代の40%程度をピークにして、1990年台前半には25%を下回り、足元では17%を割り込むまでに減少しています。それに対して、生産性が低いサービス業(卸売・小売・飲食・宿泊・運輸・倉庫など)は32%程度を占めるまでになりました。

その結果として、日本は深刻な人手不足だといわれていますが、それは小売・飲食・宿泊・運輸などのサービス業や、介護職などの特定の専門職の話であり、日本の大企業などではホワイトカラーを中心に大量の余剰人員を抱えているというのが現状です。

そのうえ、日本の2018年の時間当たり労働生産性は46.8ドルと、アメリカの74.7ドルやドイツの72.9ドルの6割超の水準にすぎません。イタリアの57.9ドルやカナダの54.8ドルを下回り、先進7か国のなかで最下位が定位置となっています。

生産性における日米間の格差は、とりわけ生産性が低いサービス業の分野で生まれています。

従業員が10人未満の事業所数が全体に占める割合は日本が80%、アメリカが50%と埋めがたい差があるゆえに、日本がアメリカのサービス業と同じ付加価値を得るには、2倍を超える従業員を雇っている計算になるのです。
以下ソース
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/70520