厚生労働省が7日発表した毎月勤労統計(速報)によると、2019年の現金給与総額(名目賃金)は月平均で32万2689円だった。18年比で0.3%減り、6年ぶりに前年比でマイナスとなった。働き方改革の流れで時間外労働を減らす企業が増えたほか、人手不足によってパートタイム労働者の比率が増えたことも全体を押し下げた。

基本給を示す所定内給与は0.1%減の24万4485円。14年以来5年ぶりに前年を下回った。残業や休日出勤といった所定外給与は0.8%減の1万9740円で、16年以来3年ぶりに前年を下回った。19年4月に残業時間の上限規制が大企業に適用されたほか、改元に伴う10連休などを受け、総労働時間の平均は2.2%減の139.1時間だった。

正社員に比べて賃金が低いパートタイムの比率が0.65ポイント増の31.53%と大幅に増えたことも名目賃金のマイナスに影響した。賞与など特別に支払われた給与は0.9%減の5万8464円。厚労省によると、夏の賞与が前年より減った企業が多かったという。物価変動の影響を除いた実質賃金も前年比0.9%減で、2年ぶりのマイナスだった。

業種別では16業種のうち6業種で名目賃金が前年比で減った。教育・学習支援業が2.7%減で最も減り、複合サービス事業(1.8%減)や情報通信業(1.4%減)が続いた。所定外労働時間では米中貿易戦争の影響で減産調整を迫られた製造業が8.6%減。全体平均の1.9%減を大幅に上回る減少幅となった。

2020/2/7 8:30
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55366480X00C20A2MM0000/