文部科学省の専門委員会は23日、iPS細胞を使い動物の体内で人の臓器を作る明治大学の研究計画を大筋で了承した。人の臓器を動物の体内で作る研究計画が認められたのは、7月の東京大学のチームに続き2例目。明大はブタの体内で膵臓(すいぞう)ができるか調べ、将来の移植医療に役立てたい考えだ。

明大の長嶋比呂志教授のチームの計画では、遺伝子操作で膵臓をできなくしたブタの受精卵を採って育てる。それらに人のiPS細胞を混ぜ、代理母となる動物の子宮に入れる。子宮に入れてから1カ月以内にブタの胎児を取り出し、膵臓のもととなる組織のなかで人のiPS細胞がどう育っているかなどを調べる。

iPS細胞が目的外の組織に育たないかなどを確認しながら進める。順調に育てば人のiPS細胞から作られた膵臓などを持つブタができると期待している。

先行する東大の計画ではマウスとラットに限り子宮に戻すことが認められ、大型動物については体外で培養することのみが認められていた。明大は人に近い大きさの臓器をもつブタの子宮に戻す計画だ。東大と情報共有などを通じて協力して進める。胎児を出産時期まで育てることや、臓器の人への移植は現時点で認めていない。

今回の専門委の了承を受け、文科省は所定の手続きを経て正式に認める見通し。

2019/12/23 12:12
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53684260T21C19A2000000/