高市早苗総務相は8日の閣議後の記者会見で、すべてのテレビ番組のネット配信に向けたNHKの実施基準案に対して修正を求めた。2020年度のネット業務の費用を東京五輪・パラリンピックの関連費を除いて受信料収入の2.5%以内に据え置くことなどを要請した。経営改革の遅れを問題視したうえで「既存業務の見直しや受信料のあり方について引き続き検討が必要だ」とした。

NHKのネット常時同時配信を可能とする改正放送法は5月に成立した。20年3月までに施行される。業務開始は総務相による実施基準案の認可が必要で、NHKは基準案を10月に提出した。総務省は8日、基準案に対する考え方を公表した。

NHKはこれまでネット業務の費用を受信料収入の2.5%以内に抑えてきた。基準案では地方や海外向けの配信費を別枠とし、実質的に受信料収入の3.8%まで拡大可能としていた。総務相は「著しい増加で、市場競争の阻害につながる懸念が示されている」と指摘。少なくとも20年度は五輪関連を除いて現行上限の維持を求めた。

有料サービスの「見逃し配信」を無料にしたり、受信料を支払っていない人でも視聴できる期間を設けたりしていることも疑問視した。総務相は「すでに実施しているネット業務と整理してほしい」と述べた。

総務相は基準案の認可の可否について明言を避け「NHKの再検討の結果も踏まえて厳正に審査する」と述べた。12月8日までにNHKに再検討を要請し、年内にも認可の可否を判断する。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51939800Y9A101C1EAF000/