米グーグルは25日、検索サービスに文章の意味を理解する人工知能(AI)技術を取り入れると発表した。これまでは入力されたキーワードをもとに検索していたが、ユーザーが単語をつなぎ合わせた文章を入力すると、AIが文の意味を理解し、求める情報を検索ランキングの上位に表示できるようになるという。当初は英語版に限られるが、将来は日本語など多言語に展開する。

グーグルが2018年に発表した「BERT」と呼ぶ自然言語処理技術を、自社の検索サービスに応用する。インターネット上にある大量のデータを用いてAIが自然言語を効率的に学習できる技術で、検索結果の一部を強調表示する機能で使い始めていたが、検索結果のランキング表示の仕組みにも応用を始める。

グーグルはAIスピーカーなどに音声認識AIを採用しているが、人の声からAIで単語を抽出し、キーワード検索していた。BERTを使う新しい検索では、例えば「薬局で誰かのために薬を取って来ることができるか」と入力すると、文章の内容から、友人や家族が患者の代わりに処方箋が必要な薬を受け取れるかどうかを説明するページを最上位に表示するという。キーワード検索では、処方の受け方を紹介するページを表示していた。

ただ、「ネブラスカの南の州は」という英文の質問文に対して、現状のBERTの技術では「カンザス州」ではなく「サウスネブラスカ」というフロリダ州にある街の情報が最上位に表示されてしまうという。グーグルでは実際の検索サービスで運用を続けながら、自然言語処理技術に改良を加える方針だ。

グーグルの検索サービスでは1日に数十億件の利用があるが、このうち15%の質問文はまったく新しいものだという。こうした予測が難しい質問文に適切な答えを見つけるためにはAI技術が有効だとしている。同社で約15年間、検索サービスの開発に取り組んできたフェローのパンデュ・ナヤク氏はBERTの活用について「検索の歴史の中でも最も大きな進歩の一つだ」と強調した。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51391220V21C19A0TJC000/