【シリコンバレー=白石武志】米アマゾン・ドット・コムが24日に発表した2019年7〜9月期決算は、最終利益が前年同期比26%減の21億3400万ドル(約2300億円)だった。9四半期ぶりの減益だ。主力のネット通販事業で米国内の翌日配送サービスを拡大し、物流などの費用が増えた。クラウドサービスなど利幅の大きい事業部門の成長は続いたが、補えなかった。

全体の売上高は24%増の699億8100万ドルで、うち半分を占める直営のネット通販事業は21%増の350億3900万ドルだった。伸び率は市場予想の16%を超えた。

米国では小売り最大手のウォルマートなどもネット通販に力を入れ、競争が激しい。アマゾンは年会費を払う会員制サービス「プライム」の拡充を打ち出し、今春に始めた無料の翌日配送の地域を広げている。

それまで2日間としていた配送の期間を短くするため、従業員や倉庫で抱える在庫などを増やした。7〜9月だけで、前年同期に比べ10億ドル前後の追加費用をかけた。クラウドサービスを除く北米事業の営業利益は、37%減の12億8200万ドルとなった。全体の営業利益は31億5700万ドルと15%減った。

クラウドサービス「AWS」の事業は好調だ。売上高は35%増の89億9500万ドルだった。営業利益は9%増の22億6100万ドルで、全体の7割強を稼いだ。

クラウドの需要は人工知能(AI)によるビッグデータの解析などで増える見通し。ただネット通販と同じく競合が追い上げ、米マイクロソフトや米アルファベットの存在感が増している。

アマゾンの1株当たり利益は4.23ドルで市場予想の4.59ドル程度を下回った。24日の時間外取引で同社株は終値を下回って取引されている。

ブライアン・オルサブスキー最高財務責任者(CFO)は同日の電話会見で、10〜12月期に、翌日配送サービスの拡大に伴う追加費用が「15億ドル近くになる」との見通しを示した。最大の商戦期である年末に向けてさらに在庫を積み増すほか、配送費用が増えるためと説明した。売上高は800億〜865億ドルで、前年同期から11〜20%の伸びとなる見通し。
2019/10/25 5:43 (2019/10/25 9:28更新)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51377570V21C19A0000000/