>>1 から続く

□地域別では米国、製品別ではメモリの市場が縮小
 WSTSは2019年の半導体市場について、地域別と製品分野別の予測を2019年6月4日に改訂した。これらの予測値を前回(2019年2月20日)および前々回(2018年11月27日)と比較してみよう。

 地域別とは、「米国」、「欧州」、「日本」、「アジア太平洋」の4つの地域である。すべての地域で前々回よりも前回の成長率が低くなり、今回(6月4日)の予測で成長率はさらに低下した。すなわち下方修正が繰り返された。そして、すべての地域がマイナス成長との予測になっている。

 とくに厳しいのが米国地域で、WSTSは前年比23.6%減と予測した。前々回の予測値である同1.4%増からはマイナス25ポイントもの下方修正となっている。アジア太平洋地域もかなり厳しい。前々回からの下方修正は12.7ポイントである。今回の予測では前年比9.6%減となった。

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地域別の半導体市場に対する成長率予測の変化。WSTSの公表値を筆者がまとめたもの

 製品分野別とはおもに、「アナログ」、「マイクロ(マイクロプロセッサやマイクロコントローラなど)」、「ロジック(ASSP、ASIC、FPGAなど)」、「メモリ」の4つの分野である。6月4日(今回)の予測では、これらの分野すべてで成長率が下方修正された。そしてこれらの分野すべてでマイナス成長を予測した。

 もっとも厳しいのメモリ分野である。前年比30.6%減と予測した。前々回からはマイナス30.3ポイントもの下方修正である。そのほかの分野は、アナログが前年比5.0%減、マイクロが同1.1%減、ロジックが同4.0%減と1桁減にとどまっている。

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製品分野別の半導体市場に対する成長率予測の変化。WSTSの公表値を筆者がまとめたもの

□DRAM市場はマイナス38%、NAND市場はマイナス32%に
 製品別の成長率予測をもう少し詳しく見ていこう。市場調査会社のIC Insightsは2019年8月7日に、WSTSが分類した33種類の半導体IC製品について2019年の成長率予測を発表した。33種類の製品のなかで2019年に市場(金額ベース)が伸びるのはわずかに8品目である。そのなかで成長率が10%以上になるのは、3品目しかない。

 もっとも伸びるのは産業/その他用の特定用途向けICで、成長率はプラス38%と非常に高い。ついでディスプレイドライバICがプラス19%、PLD(FPGA)がプラス10%と続く。

 33種類の製品のなかで成長率がゼロまたはマイナスとなるのは、25品目である。ゼロ成長あるいは1桁のマイナス成長を予測するのが16品目、2桁のマイナス成長を予測するのが9品目となっている。

 成長率がもっとも低いのはDRAMで、マイナス38%と予測する。ついでNANDフラッシュメモリがマイナス32%と低い。それからSRAMがマイナス18%、4/8bitマイクロコントローラがマイナス15%、ゲートアレイがマイナス14%、民生の特定用途向けアナログがマイナス14%と続く。

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半導体ICの品目別成長率予測(金額ベース)。市場調査会社のIC Insightsが2019年8月7日に発表したもの

>>3 へ続く