NTTドコモ、ノキア、オムロンの3社は10日、次世代通信規格「5G」を活用した実証実験を始めると発表した。生産設備を5Gの無線通信でつなぎ、生産ラインのレイアウトを自由に変えられるようにしたり、作業者の動作データを収集・分析して生産性の向上につなげたりする。

工場の生産設備は制御機器を有線でつなぐ場合が多く、生産ラインのレイアウトを変更するのは難しい。5Gは高速、低遅延などの利点があり、制御機器の通信にも利用できる。5Gでつなげば製品の種類などに応じて生産設備を簡単に動かせるようになる。

若手従業員の生産性向上にも活用する。製造設備のデータや作業する人の映像データを5Gを使って送信し、人工知能(AI)で熟練者との違いを解析する。オムロンの福井信二執行役員は「5Gを使って、誰も見たことのない世界に入っていく」と語った。

実験の詳細は年内をメドに詰める。オムロンは草津事業所(滋賀県草津市)を実験場所に検討する。NTTドコモは工場の機械が発するノイズが5G通信にどう影響するかなどを調べる。ノキアは基地局を提供し、遅延や位置情報の改善などにつなげる考えだ。

NTTドコモはファナック、日立製作所とも5Gによる生産機器間の通信無線化に向けた実験を始めている。他業種との連携に向け立ち上げた「5Gオープンパートナープログラム」では、参加する2800超の企業などのうち、製造業が17%を占め、情報サービス業や小売・飲食業に続く規模となっている。

2019/9/10 13:48
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49617320Q9A910C1000000/