格安スマホサービス「イオンモバイル」を提供するイオンリテールは3日、60歳以上の利用者を対象とした新料金プランを発表した。これまで別料金だった電話サポートをあらかじめプランに組み込み、従来型携帯電話(フィーチャーフォン)からの乗り換えに不安を感じるシニア層の取り込みを狙う。10月1日の消費増税をチャンスと捉え、顧客拡大を急ぐ。

(日経新聞の仕様で画像引用ができませんので、イオンリテール株式会社様のニュースリリースから引用します)
9月6日(金)よりやさしいスマホサービス開始!|業界最安級 イオンの格安スマホ・格安SIM【イオンモバイル】
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やさしいスマホ ゆっくりマイペースでスマホデビュー|【イオンモバイル】業界最安級 イオンの格安スマホ・格安SIM
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6日から提供を始める新たなシニア向けプラン「やさしいスマホサービス」は、通常は月額850円(税別)かかる10分以内の国内通話がかけ放題になるサービスと、通常月額300円(同)の電話サポートを組み合わせて、月額850円(同)で提供する。月500メガ(メガは100万)バイトまで利用できるデータ通信プランと組み合わせることで、月額1980円(同)で利用できる点を売りにする。

併せて、シニアを対象としたスマホ「AQUOS sense2 SH-M8 やさしいスマホ」も別途用意する。専用アプリを使わなくても「イオンでんわ」の料金で通話できるほか、イオンモバイル専用のサポートアプリなどを搭載している。価格は3万2800円(税別)。全国の「イオン」「イオンスタイル」など215店舗で取り扱う。

イオンリテールの井関定直モバイル事業部長は「10月は改正電気通信事業法の施行に加え消費増税もあり、確実に格安スマホのニーズが高まる。フィーチャーフォンからスマホに乗り換えたい、携帯大手から格安に乗り換えたいがちゅうちょしている人を全力でサポートしたい」と新プランの狙いを語った。

かつては飛ぶ鳥を落とす勢いだった格安スマホ勢も、最近はNTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの携帯大手3社の値下げにより、成長鈍化に直面している。MM総研(東京・港)の調査によると、携帯電話市場に占める格安スマホの契約数比率の伸びは2年連続で鈍化した。年2〜3割増で伸びてきた事業者数も直近1年では1割増にとどまる。携帯電話事業に参入を表明した楽天がDMMの格安スマホ事業「DMMモバイル」を買収するなど、事業者の淘汰も進みつつある。

イオンモバイルは格安スマホ勢の中で中堅に位置する。契約数は7月末時点で約56万回線に達した。イオンリテールの井関事業部長は「緩やかだが市場の伸びよりも成長できた」と強調する。成長の原動力になったと分析するのが春に実施した学割サービスだ。同社初となる顧客層を絞ったこのサービスは、25歳以下の契約数が昨年比で187%も伸びるなど狙い通りの効果を生んだという。

今回のシニア向けプランは顧客層を絞ったサービスの第2弾と位置づける。イオンの店舗の来店者の約3割が60歳以上であり、こうした顧客層の取り込みを急ぐ。

ただ、シニア層や学生は他の格安スマホ事業者も狙う市場。携帯大手3社は自社顧客の囲い込みを急いでいる。契約数の伸びが鈍化し市場が飽和し始めた国内の携帯電話市場で料金以外でいかに他社との違いを打ち出せるか。各社は古くて新しい問題に直面している。

(企業報道部 堀越功)

2019/9/3 14:00
日本経済新聞
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