中国のテレビ大手、TCL集団が29日、日本市場に本格参入すると発表した。次世代ディスプレー技術「量子ドット」(QLED)を搭載したテレビなど3機種を9月末から展開。中国の家電市場が縮小傾向にあるなか、五輪特需でテレビ市場が活況な日本に照準を合わせる。2021年末までに国内シェア3%を目指し、テレビ以外の白物家電製品も将来的に販売していく。

日本法人のTCLジャパンエレクトロニクスは、これまでオンラインなどで少量しか販売していなかったテレビを日本で本格販売する。ラインアップは最新技術を搭載した4K対応テレビ「X10シリーズ」(65型で想定価格20万円前後)や手ごろな価格の4K液晶テレビ「P8シリーズ」(65V型で10万円前後)など。営業人員を18年に前年比約4倍に増やしており、これまで取引がなかった家電量販店での販路を増やす。

東京五輪での特需に期待している。電子情報技術産業協会(JEITA)によると、18年の4K対応薄型テレビの出荷台数は前年比約28%増の198万9000台。TCLは国内の情報システム企業などと連携することで、新設が続くホテルに液晶テレビを約5000台導入したい考え。

英IHSマークイットの調査によると、TCLの薄型テレビの世界シェア(17年)は7.1%で、サムスン電子やLG電子など韓国勢に次ぐ3位。出荷台数は18年で2800万台に達するなど好調を維持するが、中国国内では家電市場の縮小などのあおりを受け苦戦を強いられている。

TCLジャパンエレクトロニクスの李炬代表取締役は29日、東京都内で開いた記者会見で「日本市場ではソニーなどの国産メーカーの牙城を崩すことは容易ではない」としながらも、日本の市場に特化した製品を開発するなどし、3〜5年後までにはシェア5%を獲得する目標を掲げた。20年12月末までにはテレビの販売台数を13万台ほどにまで伸ばす計画だという。
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