米ツイッターは19日、中国政府の関与が疑われる936件の不正アカウントとツイート内容を開示した。「逃亡犯条例」の改正案をきっかけにした香港の抗議活動を標的とし、活動の正当性を損なう情報などを流したと指摘した。米フェイスブックも同日、ツイッターから共有された情報に基づき、5つのアカウントを削除したと発表した。中国政府によるSNS(交流サイト)上の情報操作の一端を明らかにした。

ツイッターは2016年の米大統領選でロシアが関与した偽ニュース流布などの選挙介入を許した反省から、18年秋から国家が関わる不正アカウントとツイートの一覧を定期的に開示している。

同社の開示によると、ニュースサービスを装ったある不正アカウントでは、若者らが立法会(議会)の建物の一部を破壊する写真を投稿した上で、「香港はあなた方のような過激な人々を求めていない。ここから出て行け!」などとツイートしていた。

ツイッターは19日の声明で、今回開示した中国由来の不正アカウントについて「国家の支援を受けた組織的な工作であることを裏付ける証拠がある」と述べた。不正アカウントはいずれも凍結した。936件を一斉に開示するのは業界で最大規模だとしている。

ツイッターは中国本土ではブロックされ利用できない。不正なアカウントの多くはネットの規制を回避できるVPN(仮想私設網)を使ってアクセスしていたという。ツイッターによると、開示した936件は20万件にのぼる不正アカウントの一部で、多くはアカウント作成時に検知し、利用を始める前に停止したとしている。

フェイスブックが削除した5つのアカウントは中国由来で、削除対象にはニュースメディアを装った7つのページや、不正アカウントによる3つのユーザーのグループが含まれるという。

フェイスブックは同日の声明で「不正に関わった人物は身元を隠そうとしたが、調査によって中国政府関係者とのつながりを発見した」と説明。「調査結果を司法当局や業界のパートナーと共有し、引き続き監視を行う」と述べた。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48746180Q9A820C1000000/