【ワシントン=鳳山太成】米商務省は14日、中国や台湾で生産した鉄鋼製品の米国向けの迂回輸出に関わっているとして、アラブ首長国連邦(UAE)など5カ国を調査すると発表した。通常は企業の要請を受けて調査を始めるが、今回は同省が初めて自発的に実施するという。トランプ政権は米国の制裁関税を逃れるための迂回輸出に警戒を強めている。

調査するのはUAEとコスタリカ、グアテマラ、マレーシア、南アフリカから輸入する耐食性の高い鉄鋼製品。簡単な最終加工を施し、中国や台湾の原産であることを隠すための経由地となっていないか判断する。不当な迂回輸出と認定すれば追加関税を発動する。

米商務省は中国や台湾から輸入する耐食性の高い鉄鋼製品に、反ダンピング(不当廉売)関税や補助金相殺関税をかけてきた。中国や台湾からの輸入が減った半面、調査対象の5カ国からの輸入が急増しているという。

これまでトランプ政権は企業の要請を受け、迂回輸出に関する調査を計21件手掛けてきた。今回は貿易動向を監視する商務省が自発的に調査を始める初めての事例になるという。

米政権は不当に安く流れ込む鉄鋼などの製品に相次いで関税を課すとともに、それを避けるための迂回輸出にも神経をとがらせている。トランプ大統領はベトナムなども迂回輸出の経由地だとみなして制裁措置をちらつかせている。

2019/8/15 5:20
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48573900V10C19A8000000/