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□好調のソフトバンクは10月以降も顧客拡大に注力
 8月5日にソフトバンクが発表した第1四半期決算は、売上高が前年同期比5.8%増の1兆1648億円、営業利益が同3.7%増の2689億円と、増収増益の決算となった。この業績比較は前期に連結子会社化したヤフーの業績を遡及したもので、ヤフーの連結化がなくても増収増益となっている。

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ソフトバンク代表取締役社長執行役員兼CEOの宮内謙氏

 大手3社では唯一増収増益を維持したことになるが、その理由について同社代表取締役社長執行役員 兼 CEOの宮内謙氏は、ソフトバンクとワイモバイルですでに競争力のある料金プランを提供しており、新料金プラン導入の必要がなかったためと説明している。

 また宮内氏は好調の要因として、ソフトバンクブランドで6月より提供している「スマホデビュープラン」の存在が大きいとも話している。このプランによって他社からも番号ポータビリティで顧客を奪っており、これがワイモバイルやLINEモバイルも合わせたスマートフォン契約数を、前年同期比174万件増の2245万件と大きく伸ばしていることに貢献しているようだ。

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「スマホデビュープラン」が想定よりも好調に推移しているとのこと。このプランを目的に他社からの乗り換えも増えているそうだ

 一方で、宮内氏は「ガイドラインに抵触しない範囲で、それなりに営業費用はかけている」とも話している。宮内氏は「駆け込みという発想はない」と答えているものの、端末値引きが難しくなる電気通信事業法前の駆け込み需要を獲得するべく、獲得コストを高めていることも好調要因の1つとなっていると考えられる。

 では、その電気通信事業法改正が実施される10月以降、ソフトバンクはどのような対応を進めるのだろうか。宮内氏は「10月以降も知恵を張り巡らせて拡大作戦をやりたい。事業法が変わったから低調になるというパターンじゃないようにしたい」と話している。

 「モバイル市場の競争促進に向けた制度整備(案)」では、2年縛りの違約金上限が1000円になるなど、解約がしやすく、流動性が高まるための規制に力が注がれている。それをマイナスではなくプラスと捉え、他社から顧客を奪うようマーケティング活動に力を注ぐ構えのようだ。

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ソフトバンクの伸びをけん引しているワイモバイルブランドは、分離プランを採用した新料金プランでさらなる顧客獲得や、楽天モバイルへの対抗サービスとして注力していく方針のようだ

 そしてその軸となるのは、低価格帯で強みを持つワイモバイルのようだ。ソフトバンクはワイモバイルでまだ分離プランを導入していないが、宮内氏は「これから楽天モバイルが料金プランを発表すると思う。それを見ながらやっていく」と回答。楽天モバイルの料金を見据えた上で、分離プランを採用したワイモバイルの新料金プランを導入し、顧客獲得に力を入れていくものと見られている。

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