韓国サムスン電子がスマートフォンのカメラ機能を決定づける画像センサーの供給で中国スマホ大手に攻勢をかけている。世界4位の小米(シャオミ)は7日、サムスンが5月に発表した新型画像センサーを自社製品に搭載すると発表した。同5位OPPO(オッポ)が新興国で展開する若者向けブランドでの搭載も近く表明する。中国勢への供給をテコに画像センサーで世界首位のソニーを追う戦略だ。

「6400万画素の画像センサーを搭載した世界初のスマホが近く登場する。小米と新しい製品と技術を生み出し続けていきたい」。サムスンのシステムLSI事業部を率いる李済碩(イ・ジェソク)常務は7日、北京市内のホテルで開いた記者会見でこう強調すると、小米の林斌総裁は満足そうにうなずいた。

小米が若者向けブランド「紅米」の新型スマホに搭載するのは、サムスンが5月に発表した新しいCMOS(相補性金属酸化膜半導体)イメージセンサー「GW1」。一眼レフカメラやミラーレスデジタルカメラの高級機に匹敵する6400万画素が特徴だ。

小米によると、現在のスマホとして最高の4800万画素よりも解像度が34%高くなる。記者会見では撮影した画像を大きく引き伸ばし、道路標識の細かい文字を読めることで高い性能をアピールした。

なぜ小米がサムスンの高性能センサーを採用したのか。世界で多くの若者がインスタグラムや微信(ウィーチャット)などSNSで写真やコメントの掲載を楽しんでおり、カメラ性能がスマホ選びの決め手になっているためだ。小米は2018年5月にカメラ機能の専門開発部門を設立し、中国に加え、日米欧印で開発人員を抱えるなど力を入れてきた。

中国のスマホ市場で華為技術(ファーウェイ)が3割以上のシェアを占めて首位を独走し、米アップルが1割以下で5位に沈む理由について、中国のIT(情報技術)機器に詳しいアナリストは「ファーウェイは『自撮り』をきれいに撮影できるイメージが定着したからだ」と説明する。

一方、サムスンが小米を供給先に選んだのは、中国と新興国で成長しているためだ。中国で1割以上の4位シェアを持つうえ、インドではシェア1位。ロシアでもシェアを伸ばす。中国ではサムスン製スマホのシェアが低く、サムスンは中国ではスマホ大手に画像センサーを提供することで事業拡大を狙う方針に切り替えたとの見方もある。

相手先は小米にとどまらない。中国メディアによると、OPPOが新興国などで展開する若者向けブランド「リアルミー」も近くサムスンの新型画像センサーを搭載した新モデルを発表する予定。リアルミーはインドや東南アジアでシェアを伸ばしている。サムスンは中国スマホ大手への供給拡大でソニーの画像センサーの牙城を崩す戦略をとっているとみられる。
以下ソース
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48327410X00C19A8FFJ000/