NECは26日、顔認証システムを全日本空輸などが加盟する航空連合のスターアライアンスに導入すると発表した。旅客は事前に登録すれば、空港職員にパスポートを見せずに手荷物を預けたり、搭乗手続きを済ませたりできる。旅客の利便性が高まるほか、空港職員の省力化につながる。NECは今回の導入をきっかけに世界で独自の顔認証技術を普及させたい考えだ。

顔認証システムは希望する旅客だけが利用する仕組みにする。利用者は事前にスマートフォンのアプリでパスポートの本人情報を登録し、チェックインする。空港では手荷物の預け入れや航空会社のラウンジ入場、搭乗時の航空券・パスポートの確認作業を簡単に済ませられる。出国審査や税関検査は対象外となる。

スターアライアンスは全日空やシンガポール航空、米ユナイテッド航空など28社が加盟する。このうち複数社が2020年にNECの顔認証システムを導入する見込み。旅客は一度登録すれば他の加盟社でも使える。NECは順次、導入企業を増やしたいという。

NECは成田国際空港第3旅客ターミナルに顔認証を活用した税関検査の電子申告ゲートを導入済み。20年3月以降は羽田空港や新千歳空港など国内6空港でも使えるようになる。海外でも導入を進めており、空港向け生体認証サービスで25年度までに200億円の売り上げをめざす。

NECは顔認証技術など人工知能(AI)の研究に力を入れる。世界知的所有権機関(WIPO)によると、AI関連特許の申請数でNECは世界5位だ。米国立標準技術研究所(NIST)の顔認証テストでは高い精度で判別できるとして4回連続で1位になった。
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