中国国家統計局が15日発表した2019年4〜6月の国内総生産(GDP)は、物価の変動を除いた実質で前年同期より6.2%増えた。1〜3月期から0.2ポイント縮小した。リーマン・ショック直後の09年1〜3月期を下回り、四半期ベースで統計を遡れる1992年以降で最低だった。長引く米国との貿易戦争が重荷となり、輸出や投資が振るわなかった。

中国の成長率は19年1〜3月期に6.4%と1年ぶりに減速が止まったものの、4〜6月はまた減速傾向に戻った。成長率は19年の政府目標「6〜6.5%」の範囲内に収まった。

日本経済新聞社と日経QUICKニュースが共同で実施した市場調査の平均(6.2%)と同じだった。

4〜6月の成長率を前期比でみると1.6%と19年1〜3月(1.4%)より加速した。先進国のように前期比の伸びを年率換算した成長率は6%台半ばになる。景気の実感に近い名目成長率は8.3%で1〜3月(7.8%)から加速した。

中国は四半期の成長率を1992年以降しか公表していない。年間ベースでは天安門事件を理由に欧米諸国から経済制裁を受けていた90年の成長率が3.9%だった。

国家統計局の毛盛勇報道官は15日の記者会見で「国内外の経済情勢は複雑で厳しく、経済は新たな下押し圧力に直面している」と語った。

15日はGDP以外の経済指標も公表した。

工業生産は1〜6月に前年同期比6.0%増え、1〜3月(6.5%)から減速した。自動車や半導体の生産が振るわなかった。米国が昨年夏からかけた追加関税も響き、輸出向け製品の生産が鈍っている。6月単月では6.3%増で5月(5.0%増)より伸びが拡大した。

工場やオフィスビルの建設など固定資産投資は1〜6月の累計で前年同期比5.8%増えた。伸び率は1〜3月(6.3%)から減速した。不動産投資は堅調だったが、製造業の投資が低迷している。景気対策の1つの柱であるインフラ建設も4.1%増と伸びがあまり拡大していない。

百貨店やスーパー、インターネット通販などの売上高を合計した社会消費品小売総額は、1〜6月に前年同期比8.4%増え、1〜3月(8.3%増)より加速した。家計調査による消費額は1〜6月に実質5.2%増で1〜3月より伸びが0.2ポイント縮小した。民間企業では業績低迷でリストラや倒産が広がっており、消費者の節約志向が強まっている。

1〜6月は輸出が前年同期比1.3%減った。1〜3月(1.4%増)から悪化した。輸入も7.3%減り、内需低迷を映している。互いに追加関税をかけた米中貿易の縮小が主な原因だ。

下半期の回復も見通せていない。不動産の販売が低迷しており、いまは堅調な不動産投資も伸びが鈍る恐れがある。政府も財政出動を前倒ししており、下半期は息切れする恐れがある。政府は6月からインフラ投資の拡大へ地方政府の資金調達を後押ししており、投資がどれだけ伸びるかが下期の景気を左右する。

習近平(シー・ジンピン)指導部は追加で大規模な景気対策を打つことには慎重だ。リーマン後の累次の経済対策で、国有企業と地方政府の債務が膨らみ、金融不安を招きかねないためだ。4月から2兆元(約32兆円)規模の減税・手数料削減を始めており、その効果が表れることも期待している。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47362250V10C19A7MM0000/