SNSが生活の一部として溶け込むにつれ、多くのフォロワーなどを抱える「インフルエンサー」などの影響力がますます拡大しています。そんなインフルエンサーの一種であるSNS上の有名人であるか否かを判断する基準は「フォロワーが3万人いるかどうか」であるとイギリス当局が述べています。

2019年2月、Instagram上で3万2000人ものフォロワーを持つライフスタイルブロガーが、製薬会社のSanofiが販売する抗ヒスタミン薬と睡眠補助薬に関する写真とコメントをSNS上に投稿しました。しかし、有名人が薬を宣伝するような、Instagramの広告はイギリスの法律では許可されていないと、イギリスの広告基準局(ASA)はSanofiの宣伝行為を問題視します。

これに対してSanofiは、ライフスタイルブロガーのフォロワーは3万2000人であり、Stephen Fry(フォロワー35万9000人)やデイビッド・ベッカム(フォロワー5500万人)のような有名人と比べればかなり少ないものであると主張。

しかし、ASAがこの問題についての最終的な意思決定を下し、「Sanofiが主張するようにアカウントのフォロワー数は(デイビッド・ベッカムのような著名人と比較すれば)少なかった。しかし、3万人以上のフォロワーを抱えているということは『そのアカウントはかなりの注目を引くことができる』ということを示している」と述べました。そして、フォロワーが3万人を超えているのならば、イギリスの広告法に基づけば有名人とみなすに十分であるとして、Sanofiによるインフルエンサーを用いた宣伝行為は違法なものであるという結論を下しました。

イギリスや一部の先進国では有名人などによる商品を宣伝する行為を法律で規制しています。しかし、今回のASAの判決により、多くのフォロワーを抱えるインフルエンサーも、今後はSNS上での広告活動が禁じられる可能性があります。

アメリカでは連邦取引委員会が、1組のYouTuberが人気FPSCounter-Strike:GOの賭けサイトである「CSGO LOTTO」を宣伝したとして罰金を科そうとしましたが、最終的に和解して罰金は免除となっています。

それ以降、連邦取引委員会は「宣伝する商品との関係を明らかにしないままソーシャルメディア上で宣伝行為を行う人々」の存在を追い続けていますが、アメリカの法律はフォロワーの規模ではなく宣伝するモノとアカウントの「関連性」に焦点を当てて宣伝行為のアリナシが判断されるため、イギリスのように「フォロワーの規模が数万人以上だから宣伝行為はNG」といった判断にはならない模様。

なお、連邦取引委員会による最新のガイダンスによると、最良の事例は、基本的にブログであろうとムービーであろうとソーシャルメディアであろうと、製品・サービス・ビジネスについて話す際には、それらとの「関係性」を明確にすることこそが重要であるとされています。
https://gigazine.net/news/20190705-30000-followers-makes-internet-celebrity/