【シリコンバレー=白石武志】米アマゾン・ドット・コムの電子商取引(EC)サイト上で販売された商品の欠陥をめぐる訴訟で米連邦控訴裁判所(高裁)は3日、消費者は同サイトに出店する外部事業者の取扱品についてもアマゾンに責任を問うことができるとの判断を示した。外部事業者による偽造品の流通などを許したとの批判を受けるアマゾンにとって、今後の法的リスクとなる恐れがある。

訴訟は米ペンシルベニア州に住む女性が起こしたもので、アマゾンのECサイトで購入したペットの首輪のひもが壊れて片目を失明したと主張。ひもを販売した外部事業者と連絡がとれなくなったことから、同事業者にECサイトへの出店を認めたアマゾンに賠償責任を求めていた。

連邦地方裁判所で行われた一審では同州の法律ではアマゾンは売り手ではないとの判断が示されていたが、控訴審を担当した判事はアマゾンは外部事業者の販売する不良品を排除することができる立場にあったと指摘。一審の判断を覆し、アマゾンにも売り手としての責任を問うことができると認めた。

米国内では同様の訴訟が相次いでいるが、米ロイター通信はアマゾンの責任を認める判断が示されたのは今回が初めてとみられるとしている。控訴裁は原告側の主張をさらに検討するよう審理を地裁に差し戻す判断を示している。3日夕時点でアマゾンからのコメントは得られていない。

アマゾンでは自ら仕入れた商品を消費者に直販するほか、外部事業者にも同社のECサイトに出店できるサービスを提供している。2019年1〜3月期決算では直販事業が全体の売上高の約5割を占める一方、外部事業者からの収益は全体の2割に相当する規模になっている。
2019/7/4 9:38
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46933590U9A700C1000000/