日産自動車が27日に発表した2019年3月期の有価証券報告書によると、カルロス・ゴーン被告への報酬額は16億5200万円だった。18年3月期の28億6900万円からは大幅に減ったものの、株主からは高額報酬との批判が再燃しそうだ。当初に予定していた報酬額は25億円だったが、一連の不正が発覚した後に、日産がゴーン氏を会長と代表職から解任したため、報酬が減った。

ゴーン元会長は18年11月19日に有報の役員報酬の虚偽記載の疑いで逮捕され、日産はその3日後にゴーン氏を会長、代表職から解任した。11月23日から19年3月末までは非常勤の取締役扱いとなったため、その分報酬が減った。報酬額16億5200万円のうち、子会社分を除いた12億3700万円はまだ支払われていない。一方、西川広人社長兼最高経営責任者(CEO)の前期の役員報酬は4億400万円だった。前の期は4億9900万円だった。

日産が25日に開いた株主総会で、西川広人社長への賛成比率が78%となったことも明らかになった。日産が27日に関東財務局に提出した臨時報告書で判明した。西川社長の賛成比率は前回の改選期だった2年前の17年6月の定時株主総会の賛成比率79.9%から1.9ポイント低下した。ゴーン元会長の不正を防げなかったほか、足元の業績不振、仏ルノーとの関係が悪化していることを受け、個人や機関投資家の間で西川社長の責任を問う声が出ていた。ルノーは賛成票を投じたとみられる。

指名委員会等設置会社に移行する定款変更の議案への賛成比率は、99.7%と企業統治を改善する提案には大多数が賛成にまわった。定款変更の議案を巡っては、ルノーが一時棄権する意思を示したが日産の譲歩案を受け入れて賛成した。

2019/6/27 12:15
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46633680X20C19A6000000/