半導体大手のルネサスエレクトロニクスは25日、呉文精社長兼最高経営責任者(CEO、63)が6月末に辞任し、後任に柴田英利最高財務責任者(CFO、46)を充てる人事を固めた。呉氏は3月の定時株主総会後の取締役会で再任されたばかり。約3カ月での異例の辞任となる。大型買収で拡大路線を進めたものの業績は低迷しており、事実上の引責とみられる。

同日開いた取締役会で決議した。呉氏は取締役も辞任する。

呉氏は自動車部品大手のカルソニックカンセイの社長や日本電産の副社長を務め、2016年6月にルネサスの社長兼CEOに就任した。17年2月に米インターシル、18年3月に米インテグレーテッド・デバイス・テクノロジー(IDT)を計1兆円超で買収した。

ただ、主力の自動車向け半導体などでのシェア低下や中国景気の減速を受け業績は低迷している。19年1〜3月期の連結営業損益は12億円の赤字だった。会計基準の変更があり単純比較はできないが、1〜3月期に赤字を計上したのは7年ぶりだ。

後任の柴田氏はルネサスの筆頭株主である官民ファンド、産業革新機構(現INCJ)出身。12年に革新機構がルネサス支援を決めたときの投資責任者で、13年10月にルネサス取締役に転じた。16年6月に取締役を外れ執行役員常務に専念したが、18年3月に取締役に復帰した。

柴田 英利氏(しばた ひでとし) 95年(平成7年)東大工卒、JR東海入社。09年産業革新機構入社。13年ルネサスエレクトロニクス入社、18年取締役。神奈川県出身

2019/6/25 15:00
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46537460V20C19A6I00000/