調査会社のインプレス(東京・千代田)は有料動画配信サービスについて市場調査結果を公表した。2019年5月時点での利用経験率は前年比1.6ポイント増の22.9%だった。各種サービスの広告宣伝の影響で認知度が向上したことが影響したもようだ。次世代通信規格「5G」によってより快適に動画が見られるようになれば、利用率は今後も拡大する見通しだ。

インプレスによる「有料動画利用率及び映像・動画全体の視聴状況調査」は14年の初調査以降6回目。19年5月10日から15日までの間にウェブサイト上で調査した。有効回答数は2万2710人。

有料の動画配信サービスの利用者のうち、17.2%は「3カ月以内に有料の動画配信サービスを利用したことがある」と答えた。各サービスがテレビCMなどで広告宣伝を強化したことによってサービスの認知度が向上し、17年と比べると利用率は7.6ポイント増えた。

「話題となるオリジナルコンテンツが相次いで配信されていること」(インプレス)も起因しているという。

「3カ月以内に有料の動画配信サービスを利用した」と回答した人が利用するサービスを調べたところ、トップはアマゾン・ドット・コムの「プライムビデオ」で前年比9.1ポイント増の62.7%。2位以下は日本テレビ放送網の「Hulu(フールー)」「ネットフリックス」「DAZN(ダゾーン)」と続いた。サービス全体の満足度ではネットフリックスが最も票を集めた。

よく視聴する映像・動画の種類別調査では、「有料の動画配信サービス」は16%にとどまった。「リアルタイムのTV番組」が68.3%で最も高く、依然として慣れ親しまれた従来の視聴方式が高い支持率を示した。「録画したTV番組」が55.1%、「動画共有サービス」が37.6%と続いた。

性年代別にみると、10代では男女共に投稿サイト「ユーチューブ」をはじめとする「動画共有サービス」が60%台と高い利用率だった。

(在京民放5社が共同で手がける番組の見逃し配信サービス)「TVer(ティーバー)」などの「無料の動画配信サービスの浸透が進むことで動画配信サービス全体の認知度が上がる」(インプレス)。結果として有料配信サービス市場拡大を後押しすることになるとの見方を示した。

「5Gの開始により、動画コンテンツ全体への視聴ハードルが下がる」(同)こともあり、市場は拡大が続きそうだ。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46397420R20C19A6000000/