少なくとも哺乳類の動物は、自分の命が途絶えると直感するとき本能のレヴェルで哀しいと幾許かは
感じるのではないか。その可能性を私は否定することができない。いや、本能といってはならないだろう。
彼らにとて幾分かの意識があるに違いなく、自分に迫りくる死を僅かにせよ意識するところから哀しみが
生じるのではないか。あの犬やあの猫の目は単なる生命力の衰えではなく、自分の衰えをかすかに
意識するものの哀しみを漂わせていた、と考えられてならない。

??西部邁「死に逝く動物たち」『生と死、その非凡なる平凡』新潮社、2015年、151-153頁。

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