米Oracleのクラウド「Oracle Cloud」がようやく日本にデータセンターを構えた。クラウドで最大のライバルであるAWS(Amazon Web Services)の日本上陸に遅れること8年。もはや数周回遅れともいえるタイミングでの日本市場への参入だ。AWSやMicrosoft Azureにどう対抗するのか、その勝算を探ろう。

 日本オラクルは2019年5月8日、Oracle Cloudの東京リージョン開設を発表した。同社のIaaSやPaaSを国内にあるデータセンターで利用できるようになった。今後6カ月以内に大阪リージョンも開設する計画。IaaSの「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」、および自律型データベース「Oracle Autonomous Database」を中核に、日本のクラウド市場で攻勢を強める。

Oracle Cloudのターゲット領域は2つある。1つは、オンプレミス環境で稼働するミッションクリティカルな企業システム。もう1つは、企業が進めるデジタルトランスフォーメーション(DX)の基盤だ。

 「日本では、ミッションクリティカルな企業システムのクラウド移行はそれほど進んでいないし、DXのクラウド活用もまだ少ない」。日本オラクル クラウドプラットフォーム戦略統括 ビジネス推進本部長の佐藤裕之氏は、日本で企業のクラウド活用が本格化するのはこれからと見る。

 日本でも企業ユーザーを中心にOracle Database(DB)のシェアは高い。オンプレミス環境にあるOracle DBをOracle Cloudに巻き取れば、AWSやMicrosoft Azureなど先行するライバルの追撃は可能というわけだ。

 企業システムで利用中のOracle DBの移行に向けて、OCIと共に打ち出すのが、同社のDB専用機「Oracle Exadata Database Machine」を使ったサービス。「Exadataでしか性能要件を満たせないシステムに加え、Exadataを使いたかったが購入に踏み切れなかったユーザーの利用も見込める」(佐藤氏)。

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