トランプ米大統領が5日に対中関税の引き上げを表明したことを受け、6日の中国本土や香港の株式市場は急落した。上海総合指数の下落率は5.6%と2016年2月以来、3年ぶりの大きさになった。香港ハンセン指数や他のアジア株、人民元の対ドル相場も値を下げた。

上海総合指数の終値は2906と19年2月以来の安値を付けた。上海、深?の両市場では上場銘柄の9割超が下落する全面安になった。「市場は米中交渉の先行きを楽観していただけに、ろうばい売りが出た。調整には1、2カ月かかる可能性がある」(中国の中堅証券、国都証券の郭祥主任)という。

18年に米国の制裁を受けた通信機器大手の中興通訊(ZTE)のほか、監視カメラ大手の浙江大華技術が値幅制限いっぱいの10%安となった。米中摩擦の景気に対する下押し圧力だけでなく、ハイテク分野における個別企業への悪影響を懸念する声が強い。中小型株の比率が高い深?市場「創業板」が8%近く下落するなど、個人投資家の投げ売りも出た。

ハンセン指数も3%下げた。豚肉加工の世界最大手で、米国事業の比率が高い万州国際が一時12%近く下落したほか、米アップルに部品を供給するスマートフォン音響部品の瑞声科技(AACテクノロジーズ)も9%安となる場面があった。時価総額が大きい中国ネット大手の騰訊控股(テンセント)や中国平安保険も大きく下げた。

中国・香港以外のアジア株にも下げが波及した。台湾の加権指数は2%弱、シンガポールのST指数は3%下落した。台湾は中国経済の影響を受けやすく、鴻海(ホンハイ)精密工業などの主力銘柄が下げた。

影響は人民元にも広がっている。香港外国為替市場では中国本土以外で取引されるオフショア人民元が6日、一時1ドル=6.82元まで下落した。中国経済に下押し圧力がかかるとの見方から、1月以来の元安・ドル高水準を付けた。中国本土のオンショア人民元も一時1ドル=6.79元まで下げた。
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