スターバックスコーヒージャパンは8日、LINEと提携したサービスの提供を始めた。LINE上でスターバックスの会員サービスを利用できるようにしたほか、店頭での「LINE Pay(ラインペイ)」決済にも順次で対応する。月7600万人のアクティブユーザーがいるLINEとの提携で新たな来店客層を開拓する。

スターバックスはプリペイド式の「スターバックス カード」と会員制プログラムの「スターバックス リワード」を展開している。カードを使って決済し、たまったポイントを商品に交換できる。すでに330万人の会員を抱えており、決済の3分の1以上がキャッシュレスになっているという。

LINEとの提携では同社アプリで、会員登録やプリペイドカードの機能を使えるようにする。LINE上から簡単に準会員への登録を済ませることができ、スマートフォン(スマホ)だけで店頭で支払ったりポイントをためたりできるようになる。

スターバックスコーヒージャパン最高経営責任者(CEO)の水口貴文氏は8日に開いた会見で「ステップが複雑だったことが会員登録のバリアーになってきた」と話した。LINEのプラットフォームを利用し敷居を下げ、利用者を拡大する考えだ。スターバックスが自社の会員プログラムを他のサービス上で展開するのは世界でも初めてだという。

そのほかLINE上でオススメのメニューやトッピングなどを発信するスターバックスの公式アカウントを開設。19年度中に、ユーザー一人ひとりに合わせて異なる情報を発信できるようにするほか、店頭でのラインぺイによる支払いにも順次対応していく。

LINEとの提携の狙いは会員プログラムの裾野を広げ、新たなファンに育てることだ。1415店(18年12月末時点)の店舗を持ち、なお年100店ペースの出店を続ける中で、新たな来店の動線は欠かせなくなっている。LINEを使った情報発信で新たな消費者にアプローチし、既存の客層のさらなる来店も促す。

スターバックスは日本市場でも「ウーバーイーツ」によるデリバリーを増やすなどデジタルサービスへの対応を急いでいる。商品のほかに接客や店舗作りなどで会社でも自宅でもない「サードプレース(第3の場所)」としての地位を築いてきた同社。デジタル時代に合わせた体験をどうデザインするかが今後のブランド力を左右することになりそうだ。
2019/4/8 14:27
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43466720Y9A400C1HE6A00/