【ワシントン=鳳山太成】米マサチューセッツ工科大学(MIT)は4日までに中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)との協力関係を打ち切る方針を決めた。米政府がイラン制裁違反を理由にそれぞれ起訴したり制裁を科したりしたことを理由に挙げている。米中摩擦を背景に、中国企業との関係を見直す米大学が増えている。

MITが公表した3日付の学内向け書簡で「ファーウェイ・ZTEと新たな協力関係を結んだり、既存の取り組みを更新したりすることはない」と明記した。「制裁違反に関する連邦政府の捜査」が理由だという。中国とロシア、サウジアラビアとの協力は審査を厳しくする方針も決めた。これまでの協力内容の詳細は明らかにしていない。

米政権や議会が両社への圧力を強めるなか、関係を見直す米大学が増えている。既にスタンフォード大やカリフォルニア大バークレー校などがファーウェイからの寄付金受け入れを停止した。ノーベル賞受賞者を輩出する名門MITもこれらの動きに追随した格好だ。

トランプ政権は重要な技術や情報が盗まれる恐れがあるとして、中国との関係に注意するよう各大学に警告を出した。中国との産学連携で密接な関係を続けてきた米大学は対応に追われている。

米政府は特に中国2社に厳しく対応している。米司法省は1月、イラン制裁違反に絡む金融詐欺や企業秘密窃取の罪でファーウェイを起訴した。同社は関与を否定している。商務省は18年、イランとの違法取引でZTEに制裁を科した。
2019/4/5 5:06
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43365500V00C19A4000000/