政府は26日、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の要件などを定める施行令を閣議決定した。マネーロンダリング(資金洗浄)対策として、100万円を超える現金とチップを交換した顧客情報は国への報告を義務付ける。誘致を目指す自治体は施行令に基づき、事業計画を国に申請する。2020年代半ばにも国内初のIR施設が開業する見込みだ。

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特定複合観光施設区域整備推進本部の会合であいさつする安倍首相(26日午前、首相官邸)

安倍晋三首相は閣議に先立ち首相官邸で開いたIR推進本部の会合で「世界中から観光客を集める滞在型観光の実現へ、これまでにないスケールとクオリティーを求め、世界最高水準のカジノ規制を具体化するものだ」と強調。「今後も観光先進国の実現を目指していく」と語った。

施行令は4月1日から順次施行する。カジノのほか国際会議場、宿泊施設などの併設を求めた。宿泊施設の客室総面積は、海外のIRに匹敵する10万平方メートル以上と規定。国際会議を開く会議室の収容人数は、おおむね1000人以上と定めた。

地域経済への波及効果を大きくするため、博物館や劇場、美術館などの施設を併設することも求める。IRを拠点に全国の観光地に訪日客が出向くように、旅行の手配を手掛ける窓口の開設も要件とする。

カジノ施設についてはIRに占める床面積の上限を全体の3%とした。広告は外国人観光客の誘客に限って認め、空港や港の国際線発着ターミナル周辺に限定する。

政府は今夏、内閣府の外局として事業者の適格性を判断する「カジノ管理委員会」を設置する。その後、国土交通相が自治体の選定に向けた基本方針を策定。誘致を目指す自治体は公募で選んだカジノ事業者と計画をとりまとめ国に申請する。

2019/3/26 8:50
日本経済新聞
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