日銀の片岡剛士審議委員は27日、高松市内での講演で「(日銀が目標とする)2%に向けて物価上昇率が高まる蓋然性は現時点では低い」と述べ、金融緩和強化の必要性を主張した。世界景気の不確実性の高まりから、国内経済の「回復の勢いは弱い」との認識を表明。デフレ脱却に向けて「財政・金融政策のさらなる連携」も重要だと話した。

同氏は現行の金融政策維持を決めた1月の金融政策決定会合で反対しており、かねて追加緩和の必要性を主張している。

日銀は1月の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で2018〜20年度の物価見通しを引き下げた。片岡氏は講演で、見通しを修正しても金融政策を変えない状況に対して「物価目標実現への信認が強まるとは考えにくい」とし、期待インフレ率がけん引する物価上昇は難しいとの考えを示した。

また、消費税率引き上げ後は「経済の持ち直しは緩慢なペースになる」と指摘。前回の増税後の「消費の拡大テンポがかなり緩慢であることが気がかりだ」と話した。

2019/2/27 11:54
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41803020X20C19A2EE8000/